災害・水害の個人避難場所②

東京都内を流れる一級河川利根川、荒川の堤防決壊を考える,

 左の写真は大田区2級河川 呑川の水位スケールである。
 普段の数位は高くても2メートル(黄色)左に草があるあたり、ところが大雨(一時間30ミリほど)の降った後の水位は4メートルを越えている、色が黒い部分まで水があがり、道路まで1メートルの所まで迫った。
 呑川は昔より暴れ川であった。河川改修で現在のように5メートルの深さに掘り下げてようやく氾濫しなくなった。
 しかし近年の温暖化によるゲリラ豪雨はいつ氾濫してもおかしくない状況まで迫っている。雨量が一時間で100ミリを越えることを誰が予想したか。

皆さんは自治体の主催する防災訓練に出席された経験がありますか?

 東京23区自治体の災害担当者は、東京直下型地震の可能性を60パーセント近くと答えていると思う。残念なことに多くの尊い命が失われた東日本大震災では、大地震を予知した報道も地震学者もいなかったように思う。地震予知は出来ないとはっきり認めるべきである。地震が起きた後に震度や震源地を発表することしかないことを我々も認識すべきである。人間の英知が地震予知に近付くのにはほど遠いと思う。

 地震が起きるメカニズムはプレート・テクトニクス理論で異論はないようである。その複数のプレートのぶつかる所に日本列島はある。太平洋の沖合に太平洋プレートの境があり、沈み込まれたユーラシア(大陸)プレートが圧力を解放するためにプレート先端が跳ね上がる、その時、大地震が起きる、跳ね上がった海底は海水を押し上げ津波を形成する。報道では、今回の震源地海底が5メートル隆起したとある。記録の始まった明治以降の大地震でも、海底隆起は2メートルが最大(三陸大津波)であったと観測データーが出た。2倍以上の改訂隆起は想像できなかった、ここでも想定外の言葉だが命は戻ってこない。(4月2日 各新聞発表)

 地形学から過去に起きた地震を推定することが出来るそうである。それを古地震学と言う、今回の被災地をおそった大津波は過去にもあり、海岸線から内陸へ3キロメートル地点まで到達したようである。平安時代の貞観11年(869)5月26日)に起きた地震では、今回と同じような大津波であったらしい。1000年前の菅原道真が生きていた時代である、菅原道真の登用試験に「地震について書け」と出たそうである、その頃、富士山の噴火や地震が頻発したと記録にある。我々は1000年に一度の地震活動期に遭遇したのかもしれない。

自分で身を守る…昔と違う災害の姿

 東京23区を襲う脅威は三つある、東京直下型地震、関東北部(茨城あたり)地震、房総沖巨大地震である。古地震学の記録によると房総沖巨大地震は過去にも例があるという、今回2011年の大震災は、太平洋プレート上で3つの巨大地震が同時にはっせいした。隣接しているフィリピンプレートが何の反応も示さないことはありえない。フィリピンプレートの歪みは房総沖地震として解放されるのか、東京湾内直下型地震が起きるのか、もう想定外と言う地震学者の言葉は意味をなさなくなった。
 東京都の想定では、東京湾内での津波の高さは 50~60センチと想定しているが、今回の大震災で見直す必要が出てきた。房総沖の地震が起きたときの津波を想定して、東京湾内にどれだけの規模の津波があるか計算しなければ、堤防等をどれまでの高さにする防災計画が決定できない。房総沖で巨大地震が発生すれば、東京湾の狭い入り口に押し寄せる海水は膨大で湾内全てに拡散する、湾内中心部にある河川は逆流して堤防を越える可能性もある。大田区でも多摩川氾濫のハザードマップを発表した。

災害の形…氾濫と津波

 どちらの地震でも 東京都23区の受ける被害は計り知れない。震度によるが建物の被害は免れても水害等の影響は出る、津波のように地震と共にやってくる災害は立地条件によるが、河川などの堤防決壊は、広い範囲に影響を及ぼす、東京都や自治体のハザードマップを見れば、自宅が水害の時にどの程度の被害を受けるのかが確認できる。是非、各自治体のハザードマップを見て確認してほしい。

 自分で出来る対策も色々あるが、直接考えられる食品・水の備蓄も、 生活に必要な日用品も大事であるが、命を助けるための対策も出来る限りやるべきである。耐震補強と自宅での逃げ場所の確保は見落としがちな点である。水害が予想される地域の方は、当社の木造ルーフバルコニーで「屋上に逃げる」という可能性も考えてほしい。


〈写真説明〉
 大田区2級河川の内川である、上の写真は海まで数百メートルの水門、右の写真は、やや大森の上流位置の水門である。堤防から水面まで3メートルほどであるが、満潮時には水面が上がり、海に流れなくなる。堤防の回りには住宅やマンションが建っている。幸いなことに東京都大田区は未だゲリラ豪雨に遭ったことはないが、一時間50ミリの降雨が続けば氾濫が起こるであろうと予想される。特に内川の下流地域は地盤が悪く低い。